「かっこいいなあ、スナふキン Part.1」


(久々にこども親衛隊への訓示)

我がヒスターこども親衛隊の諸君!猫科ライカンスロープの児童だけあって、今日も皆かわいらしく
なによりであるなり。しかし我らは軍人ッ!コントロールされた暴力の実行者!見た目に反して
やるときは殺る!わが身既に不退転!の気迫をもって励むべし・・・バイオレンスとほのぼのの共存、
てなわけで本日は「ファンロード」誌掲載の、アマチュア時代のながいけん作品について語るなり!


フクちゃん(歌いながら歩いている)「♪うそうそほんと ほんとうそ♪」
ゴーグルイエロー「はっきりしろお!」(全力で殴打)


・・・これは何かと問われれば、即ちながいけんの投稿2コマ漫画衝撃的デビュー作品なり。

「フクちゃん」は戦前よりあった新聞4コマ漫画の主人公で、当時アニメがリメイクされており、
歌っているのはそのオープニング曲の一節。これに全力の暴力でツッこむのは、やはり当時
放映中だった東映戦隊シリーズ「ゴーグルV(ファイブ)」のゴーグルイエロー・・・なぜあえて
ゴーグルイエローなのかは不明。これに続く2コマ漫画では、「サザエさん」の主題歌より
「♪お日様〜が笑ってる〜子犬も笑ってる〜♪」「太陽が笑うかあ!」(全力で殴打)
・・・となり、更に続編では、姉に対する暴力でキレたカツオの反撃、それを見る波平の目に
涙・・・といった感じに展開。このシリーズの実に画期的なところは、「フクちゃん」「サザエさん」
といった、古典的・国民的有名ファミリー向け作品に、激しいバイオレンス描写を持ち込んだ
ことであるなり!いや、昨今の同人誌なら「北斗の拳」風の「サザエさん」やギャルゲーなど、
ごく当たり前なパロディーの様式となっているなれど、この2コマ漫画こそが、これらの
ほのぼの世界への容赦ないバイオレンスの投入
の元祖と言える、画期的な試みだったなり!プロの作品でなく、投稿誌に載った一読者の
ハガキにすぎないとはいえ、これは日本のギャグ漫画界における、一つのエポックであった
ことであるなあ。(注1)2コマ漫画は、この後「ふぁんろ〜ど」(当時は表記がひらがな)の
はみだしコミック(投稿漫画のコーナー)でこの路線が発展、「ムーミン谷の攻防」で頂点に
達するなり。そもそも、「バイオレンス」「メカニック」「マネー」が存在せず、それがあった
旧アニメシリーズに対し、原作者がクレームを付けたほど平和なムーミン世界。そこに情け
容赦ないバイオレンスが今、投入された〜ッ!・・・飢えたスナふきん(注2)が叫ぶ!

「それより聞いてくれムウミン。実は魚が公害汚染で絶滅した。

それ以来まる一日水とプランクトンしか口にしていない…」
食物を求めるスナふきんを「くそ、こじきめ」と拒絶するムーミンに対し、(旧アニメ同様)一つしかない
レパートリーの曲を絶唱!これがムーミンにダメージを与える!
“オーバーリバースエンドレスリフレインリピート”は同じ曲ばっかりで気が狂う
・・・スノーク率いるムーミン谷の防衛隊(オリジナルではロボット、リメイク版では戦車)の攻撃で
捕らえられ、手足を地面に縛り付けられ餓死、白骨化していくスナフキン。
「こうしてムーミン谷の変態こじき、スナふきんは滅びた 
かっこいいなあ、スナふきん」
(注3)
そしてヘムレンさんのホルンネタでオチ(注4)・・・す、すげえインパクトなり。

更に、脱力系キャラとして「ラスカル軍団」が登場!これは、名作劇場の「あらいぐまラスカル」
のキャラをぞんざいに描いた落書きキャラたちで、ラスカルの「ヒア〜!」という更に脱力な
叫びと共に記憶されてるものであるなり。これがまたものすごく強く、ぞんざいなキャラが
バイオレンスを行う、というこれまた画期的なギャグのフォーマットが完成、まことに恐るべし!

ムム!?意外や長くなってきたので、次回に続くべしったらべし!

(注1)これと、いがらいみきお作品が無かったら、「玉砕倶楽部」はこの世に存在しえなかったなり!

(注2)"ふきん"がひらがな。ムーミンでなく"ムウミン"。一応版権を考えてか、わずかに変えてある。
後の桜玉吉「しあわせのかたち」でのゲームネタ漫画のキャラ名と同じ手法なりな。

(注3)この「かっこいいなあ、○○」というフレーズは、台湾のえせ戦隊シリーズ「大空戦士」に
対する皮肉めいた言い回しが元ネタであり、ファンロード誌上でよく使われることになった。

(注4)ヘムレンさんのホルン演奏は、原作やアニメでも評判がよくない。オリジナル版の
「がんばれヘムレンさん」で〆るオチのほうが面白かったなりな。


ながいけん初期投稿作品





「かっこいいなあ、スナふキン Part.2」


(続き)

ファンロードの「水色ページ」(紙が水色の、人気常連投稿者に作品を依頼、原稿料を支払って作品を
掲載するコーナー)で連載になった、ながいけん。そのバイオレンスなギャグは、他の常連と大きく
異なり、極めて攻撃的。「
あげ足とり」「独自の言語感覚」「罵り合うキャラクター」などの特徴が。
これら、水色ページ掲載作品を集めた単行本「チャッピーとゆかいな下僕ども」(注1)の後書きで、
あの雰囲気に俺溶け込めなかったんだな。
 俺が入りこむには遊星爆弾落として住みよくしなくちゃいけねえもの
(注2)という、他の常連とつきあいの無い理由について語っている(注3)なれど、これはまた
うんうんと納得するほかない、ズバリな表現なり。内向きに閉じている、仲良しグループ的な
空気には、どうみてもなじまねえなりな、ながいけんは。

実際、書き下ろしの「ジェノサイド・モーニング・ゴメスの朝」のタイトルにも現れているなりな。
この変なタイトル、水色ページ掲載作品「ジェントル・モーニング・愛美の朝」とゆ〜、
永井朋裕(朋弘)の作品から来ているなり。まあ、賭けてもいいけど、ながいけん、この作品
嫌ってたなりな(笑)。ちなみに「ゴメスの朝」の方は、単行本の穴を埋めるための描き下ろしで、
推理クイズ漫画の形式(注4)。回答編では一ページにカット一枚で、絵を描く手間が省けるという
BIGな手抜き
を、自ら告白しているのが正直でよろしい(笑)。この単行本には、表面上おとなしいが、心の中で
魔王のごとき尊大で凶悪な思考がうごめく「心の悪魔・平口くん」や、表題作で、公園に住む
ハゲ眼鏡中年にしか見えないけどヒーローと、これまたしょぼくれた中間管理職みたいな悪役の戦い
?を描いた「チャッピーとゆかいな下僕ども」、原作と違って友を裏切りまくるメロスの出てくる
「走れセリヌンティウス」、客観的には電波な人にしか見えないエスパーのレポート形式の
「笛座輪芸氏の調査書」などなど・・・独自の言語感覚の生み出す名セリフが続出!(注5)

水色ページでの後半の連載作品は、残念なことに単行本に収録されてないなり。例えば
「宇宙戦艦金剛・自主規制の星」(注6)。ゴルゴ13に登場する脇役顔の宇宙人の星。
しかし、あらゆる名称が偶然、地球人が聞くとエロ単語という恥ずかしさで、とうとう
ミサイル(金剛のブリッジをそのまま発射!)で惑星を破壊する・・・という狂ったもの。
ああ、ながいけんは同人誌活動はやってないらしく、これら未収録作品が同人誌としてすら
日の目をみることがなさそうなのは、つくづく残念なりなあ。水色ページでなく、「まんが
ファンロード」掲載作である「スケベストオンナスキー」シリーズ、これは後の「神聖モテモテ王国」
のオンナスキーと見た目は同じなれど、はるかに性欲をもてあますケダモノなヤツの葛藤を
描いた?もの。これらが再び読めない現状は、大変悲しいものであるなりなあ。そして、
水色ページでの連載を終えたながいけんは、約6年の休筆に入るなれど、突然・・・

(また続くなり〜)

(注1)このタイトルは作品の一つからなれど、単行本のタイトルになったのは編集長が勝手に決定。

(注2)「遊星爆弾」は「宇宙戦艦ヤマト」に登場する、隕石型で、放射能汚染を引き起こすガミラスの
地球攻撃兵器。ガミラス人はある程度の放射能を含んだ大気を呼吸するので、テラフォーミングを
兼ねた攻撃といえる・・・でも、放射能うんぬんの設定は以後、うやむやに。

(注3)あさのまさひことケンカしたりしてたなりな。

(注4)昭和40年代、子供向け書籍で推理クイズ専門のものがよく出ていたなり。「ゴメス」のもとネタは
おそらく学研ジュニアチャンピオンコース「名探偵登場」の巻頭の漫画ではないかと推察。ちなみに
「玉砕倶楽部」の同人誌ではこれ以前に、立風書房ジャガーバックス「名探偵世界一周」を元ネタにして
似たようなことをやっていたので、なんとなくシンパシーを感じたりして。

(注5)ながいけんは、大滝よしえもん認定「ネーム(漫画のセリフ)が狂ってて素晴らしい漫画家
ベスト5」の中では、No.2に認定されているなり。ちなみに現在の一番はG−ヒコロウ。

(注6)「金剛」は、第二次大戦における日本海軍の戦艦で、最も旧型。「宇宙戦艦ヤマト」の大和が
最新型なのに対抗?ちなみに、作中でのデザインは昔の戦艦の形のまんま。ながいけんは海軍関係に
詳しいのか、「ゴメスの朝」のKGBの人物名が日露戦争でのロシア戦艦の名前だったり、「スケベスト
オンナスキー」のタイトルの作戦名が、旧日本海軍の作戦名と同じだったり、いきなり「軍艦マーチ」の
歌詞がセリフに使われたり・・・マニアなりや?


「チャッピーとゆかいな下僕ども」





「ジークナオン!」

6年もの間、その作品を表さなかったながいけん。しかし・・・1995年、突如として発表の場を移し
いくつかの読み切りを発表!そして、ついに週間少年サンデーで連載開始!・・・しかし、たしか
ながいけんって、アシスタント使わず一人で描いてたなりな。トーンいっぱい使って大変なりなあ。

「神聖モテモテ王国」!かつての読みきり作品「スケベストオンナスキー」シリーズに登場する、
坊主頭頭眼鏡ガクラン少年・オンナスキーと外見は同じなれど、以前は婦女暴行未遂でとっ捕まる
ような凶悪な・・・しかしヘタレな(注1)キャラだったのが、記憶喪失が完全に回復してない以外は
ナオン(注2)にモテたい単なる学生で、常識人=ツッコミ役になったオンナスキー。そして、
自称宇宙人にしてオンナスキーの父(注3)関節があるんだかないんだか、不思議な曲がり方の手足と
デッサンの不安定な半開きの口の顔、死亡しても次回までには生き返る・・・そう、'90年代中期最狂
ギャグキャラクター「ファーザー」(別名ファー様)!彼らの目的はただ一つ!
「ナオンにモテたい!」
モテモテの王道楽土を目指し、彼ら二人の野望の王国は地図上にその領土を
広げねえ
・・・あたりまえなり。「モテる」ため、「モテるための条件」を試行錯誤するなれど、これを
ファーザーが実行してもモテる男どころか、単なる奇人にしか見えねえのなり。なにしろファーザー、
両耳に円錐形の突起物の付いたヘルメット(脱いだことはない)、国王らしくマント、しかし
絶対ズボンをはかず(注4)、パンツに生脚というわけのわからんいでたち。どんなカッコをしても、
耳の突起物とパンツはそのまま、しかも言動は電波さんなのでフラれる>警察に逮捕か、
フラれる>ヤクザにボコ殴りのコンボがオチの定番に(笑)。

しかし、そんな彼らにもライバルキャラが!とにかく悪者であることを目指す「アンゴルモア大王
とその一党。と言っても、思考と格好が共におかしいのは大王だけで、黒いKKK団みたいな
とんがりマスクの部下たちは(見た目以外)いたってまとも。どこかに地対地ミサイルまで保持
しているほどの資金と組織を持ちながら、モテモテ王国の実力を過大評価して接触してきて
しまった上、監視のため同じアパートを借り切って移り住んできてしまうお間抜けさんたち。
ファーザーに対する報復的いやがらせを続ける大王はともかく、彼の部下ととオンナスキー、
双方の常識人(?)は「すいませんねえ」「いや、うちのバカがどうも」って感じでフレンドリー。
(注5)だがそこに、大王サイドのキャラ・怪しい性欲白人「トーマス」や、その手下(むしろ
ダメージを与えているなれど)「ヘビトカゲ(注6)も登場!ただ、キャラを増やしても
パターンは変わらないため、描くほうもネームを考えるのは大変だったと思うなりなあ。
常にオンナスキーのアパートとその周辺が舞台で、例えばどこかに旅行したり学校に
いったり、番外編として時代劇やらSFになるといった他のギャグ漫画によくある広がりは
皆無。それがポリシーなのか出来ないのかは不明なれど、よくまあ150話以上も
週間ペースで続いたものだと感心してしまうなりな。全くご苦労様であります。

あとこの作品中にたびたび出てくる「電波歌」。同時期の「マサルさん」のそれが、それぞれ関係ない
言葉の組み合わせによるおかしさメインだったのに対し、いちおうテーマに合わせた歌詞なれど、
まるで本物の電波さんが書いたようなイイ壊れ具合と、なつかしいアニメや特撮の歌のフレーズの
絶妙な、しかし狂った引用で、常人が思いつける域を超えた怪文書となっててステキなり。
(これについては、後日記事を追加予定)

・・・といった感じで、「モテるための作戦立案>実行>失敗」の流れを基本に、これに
大王やトーマスがからんでくる展開だったなれど、何回かの小休止をはさみながら、そのまま
再開されずに謎の中断。サンデーのウェブサイトで、「モテモテは再開しないのか?」との
質問に「先生の都合により終了、再開せず」とあったなれど。編集サイドとのトラブルなりや?

総統ちゃん命令第10277号!
もはや、今となっては続きを描けとか謎を明らかにせよとは言わぬ!しかしせめて、せめて
単行本未収録分の「モテモテ」と、あとファンロード掲載作品で未単行本化作品の、
同時単行本化を願う、っつうより命ずるものであるッ!さもないとWinnyで落とす(オイ)!
出すべしったらべし!べし!

追記
2003年年末のヤングサンデー誌上で「神聖モテモテ王国YS」連載開始なり!
(内容は全然変わってねえし)

(注1)「♪ぼ〜く〜は警察に〜は弱いんだ〜ぁ弱いんだ♪」という初代オバケのQ太郎の
アニメ主題歌の替え歌が全てを現しているなり。

(注2)古い業界用語で「女」のこと。既に死語なれど、「ジークナオン!」という、ガンダムでの
ジオン軍の万歳のパロディーをやってるなり(笑)。いつの間にか、ファーザーの服の詰襟も
ジオン軍の階級賞が付いているし。漫才コンビ「ザビ山ドズル」「ザビ山ガルマ」のあたりからか。

(注3)そう言い張っているなれど、オンナスキーには物心付く前に亡くなった両親がいたなり。

(注4)ズボンをはくと死ぬとうい本人の主張どおり、なぜかホントに死ぬ。血の代わりに何か
キラキラしたきれいな液状の物を吐くなれど、これはアニメ「あしたのジョー2」において、
力石を殺してしまったトラウマから相手のテンプルを打つと吐瀉してしまうジョーのゲロゲロが
透過光で光る謎の液体で表現されていた(笑)ことのパロディーと思われるなり。

(注5)大王の部下たちの会話では、ファーザーの正体やまだ登場しない大王側のキャラクター等
思わせぶりなことが語られているなれど、結局、名前だけ先に出ていたトーマスが実際に登場
したくらいで、全ての謎はうやむやに・・・当時人気のEVAの(確信犯的)悪影響なりや?

(注6)このキャラも、原型が読みきり漫画に登場。九州なまりの朴訥とした田舎者なれど、
比類なき攻撃力の「産地直送殺人マシーン」。でもむしろトーマスが重体な事態に。


「神聖モテモテ王国」








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