「火星に帰れ」


(帝国スポーツ振興会において)

我が帝国には国技とゆ〜ものが無いので、ライカンスロープ・オリンピックで優勝できるようなチームを
育てるためにも、何か一種目を選び国技に制定、重点的に選手育成すべしったらすべし!・・・で、
何がいいと思うなりや〜?やっぱ、武闘派にして不死身に近い我らのこと、格闘技がいいなりや?
え?球技に格闘が混じったほうがウケがいい?例えば?ラグボールとかバトルボール
そりゃ漫画のスポーツなり!
・・・とツッこもうかと思ったなれど、意外にやってみると面白い気もしてきたので、検討すべし(笑)。
なお、参考映像としてあの映画の観賞を強烈に推奨するものである!・・・「少林サッカー」!

「黄金の脚」と呼ばれたサッカーの名選手・ファンは、八百長を持ちかけたハンの陰謀で試合中脚を折られ没落。
今では大物チームオーナーとなったハンに媚びて使いっぱしりになっていたファンは、ある日脚を折られたのは
最初から罠であったことを知らされ愕然。街を歩く焦燥のファンの前に現れたバイト青年・シン。少林寺拳法の
普及を目指す彼の彼の恐るべきキック力を知ったファンは、少林寺拳法普及の手段として、サッカーへの応用を
薦めるなり。少林拳を捨てていたかつての兄弟子たちを結集させ、少林サッカーチームは決勝に進出!
しかし、ドーピングにより強化されたハンのチームの猛攻に、一人、また一人と倒されていくゴールキーパー。
選手不足で試合放棄やむなしか・・・のピンチに駆けつける、シンを愛する太極拳使いの饅頭作りの女・ムイ

ワールドカップの年、一部で異様に話題になった大馬鹿超人サッカーアクション映画。山田風太郎の忍者小説を
ルーツとする日本のいわゆる「バトル物」マンガを実写にしたような香港アクション映画なれど、今回はこれに
日本のスポ根漫画とCGを組み合わせ、さらにとんでもねえ映像を実現しているなり!昔の香港映画の特撮は
強引で荒っぽく勢いで見せているなれど、この映画ではCGによりチャチさが薄れてえらいパワフルな映像に。

この映画、ユニークなのは出てくる奴の多くが冴えないルックスのダメ人間だとゆ〜こと。今のハリウッドとかじゃ
ありえねえなりな。少林拳の修行で、特殊な技を身につけながらも、社会的には役立たずでパッとしない生活を
続ける兄弟子たち。最初はサッカーチームへの誘いを断るなれど、結局全員参加を決意。ビルの屋上(シンの
棲家)に集結してくる兄弟子たち!強風にマフラーがブワ〜ッとなびく!上着もブワ〜ッとなびく!
スダレ頭の髪もブワ〜ッ(笑)
か・・・カッチョイイ〜!(爆笑)いやあ、歴史の英雄やアクション映画のヒーローがやるようなハッタリシーンを
冴えないおっさんたちが、しかし堂々と演じる映像の衝撃(笑)!そして、練習試合で凶悪な反則を使う敵チームに
ボコボコにされ、かつての少林拳の使い手たちは惨めに打ちひしがれ・・・るなれど、試合中突然の瞑想(注1)に入り、
大復活!必殺の頭突きで敵を倒し、鋼鉄のごとき肌で攻撃を吸収、空中を駆け、あらゆる攻撃をキャッチ!
ってゆ〜か、いっそアストロ球団と戦え貴様ら
あとアレなり、ゴッセージの描いた「マウンドの稲妻」のチーム、ボンバーズ(笑)。ああ、サッカー漫画でもそんなの
あったなりな。しばらく前に紹介してたサイトがあったけどもう忘れたなれど(笑)。

ルックスが冴えないといえば、ヒロインのムイ。太極拳を応用して恐るべき手際で甘饅頭を手打ちで作る彼女、
ひどいニキビ顔にボサボサ髪で、萌え要素ゼロ。シンを愛してしまった彼女は、化粧に挑戦してみるも
えらい濃いメイクで、場末のキャバレーのおばちゃんかいって有様。しかし最後のゴーキーパーとして
駆けつけるシーンでは、頭をツルツルに丸めた「火星人」ルックスで登場!このときはニキビもすっかり
消えて、美人さんなり。ムリをせず自分をそのまま出した彼女が最も美しく見える瞬間。そして、
大極拳の力で、敵チーム魔鬼軍(デビルズ)の、悪魔が宿ったようなシュートを封じる妙技炸裂!
さらに回転を加え、パワーを増したボールを懇親の力で蹴るシン!炎の獣と化したボールがデビルの
選手をゴールごと粉砕するッ!いや、CGのおかげでホントに日本漫画まんまな激馬鹿描写!
そういや、ムイの店の前でかつての夢を思い出した通行人たちの瞳がボゥッ!と燃えるCGは、まんま
「巨人の星」であったなりなあ(注2)。あと、二番目のゴールキーパーになった「鉄の肌」が、敵のフリー
キックを前に、死を覚悟した彼は携帯で妻に最後の愛の言葉を・・・そして、ギャング映画での蜂の巣に
されながらも倒れず仁王立ちの描写のごとく、ボールを浴び続けついに玉砕!男の中の漢!
嗚呼、か、カッチョイ〜!・・・大馬鹿なれど(笑)

総統ちゃん命令第10202号!
これほど売れ筋要素、萌え要素無しで、「燃え」要素とギャグだけで大好評とは素敵なり!
しかし、CG多用の漫画の実写化が雨後の筍のごとく乱立の気配なれど、学ぶべきは
アイディアとキャラクター!そして冴えない奴らが輝いていく燃え燃えの展開!見た目の
アクションだけなぞっても、「その他大勢」のど〜でもいい作品になってしまうなり。
「少林サッカー」は、実のところ過去の漫画や映画の燃えパターンを、サッカーと冴えない君
たちにあてはめたパロディーでしかないとも言えるなれど、突き詰めれば面白になるという
好例なり!ハンパにやるなかれ!徹底的にすべし!べしったらべし!!べし!


(注1)敵までスタンド「ザ・ワールド」が発動したかのごとく、律儀に静止してるのが(笑)。

(注2)しかし、あのあたりはTVでやる時は尺の都合でカットかも。サッカーでの少林拳普及の前に、
歌での普及を試みるあたりも余計なので、こっちをカットした方がいいと思うなり。


「少林サッカー」





「バガヤロ様〜!Part.1」


(戦技会終了後、感想を述べて)

戦局がこう着状態なのは、戦術になんら変化がないせいなり!我らワータイガー、肉食プレデターとして
生まれし者!農耕民族日本軍みたく、おんなじ戦法ばっかし繰り返すのはナンセンスなり!状況に応じ、
臨機応変に戦法を変えてこその捕食動物!時代の流れを見て、戦法を変えてこそ生き残れるものなりよ。
漫画の世界もそうなりね〜。何描いても、いつ描いても同じ作風の作家もいるなれど、時代の流れにあわせ
日々作風を変えていき、しかもそれぞれ面白いプロの仕事っぷり・・・てなわけで今回は、漫画家
いがらしみきおの作品について語るものなり!

どうも世間一般の浅い漫画読みどもは、いがらしみきおの作風といえば「ぼのぼの」みたいなノリだと
思い込んでるなれど、これはとんでもない誤解なり。デビュー当時、エロ劇画誌や麻雀劇画誌で4コマを
描いてたころは、野球やら政治やら麻雀やらをネタにした、あまり面白くない4コマ漫画を描いてたなれど、
その後の「過激」型4コマ漫画「根暗トピア」「やんのかコラッ」「あんたが悪いッ!」「しこたまだった」
「さばおり劇場」(以上、単行本でのタイトル)こそが、いがらしみきおの真骨頂なり!これらの偉大なる点は
起承転結を完全に破壊した
ということなり!昔の漫画教室本では、基本とされる「起承転結」。しかし、いがらし漫画では、これが
起・転・転・とどめ
といった流れ!スタート直後に過激な破壊、ついでより大きな破壊、そしてダメ押し、といった調子。
それまでの雑誌の中では刺身のツマみたいな4コマ漫画が、それ目当てで本を買わせるパワーを持った瞬間!
キャラクターが叫ぶ!とにかく叫ぶ!ダメ人間たちの叫びがとどろく!

「バガヤロ様〜!」「やったのか?やったんだろ?」
「オラオラ〜!」「む〜ん」「俺にも女くれよ〜!」


ち・・・血の叫びなり

ボケにボケを重ね、絶叫のツッコミが響き、ここにバイオレンス・エロ・グロ・ナンセンスの「過激」型4コマの
スタイルが完成!・・・ときに、'80年代初頭のこと。しかし、過激型のギャグは、まるでカレーライスの
ごとく、刺激になれてしまうとより強い刺激を求めるようになった末、旨いんだかまずいんだかも解らない
シロモノになってしまい、長続きできるものではないなり。なぜなら、真っ先に作者が飽きてしまうゆえ。
このため過激型4コマの末期には、逆にシュールで脱力な作品が増えてるなりな。そして、3年ほどの休筆。

・・・だがしかし、いがらしみきおは死んではいなかったなり!'80年代中期、脱力シュール系ギャグである
「BUGが出る」(注)を開始、同時に同じ雑誌であの「ぼのぼの」もスタート!それまでの破壊的ボケ、
全力ツッコミとは全くちがう、ピュアなボケからくるそこはかとない笑い。子供の持つ、ウケようなどとは考えない
天然ボケの新たな種類のギャグ漫画、ここに完成!

そう、この後いがらしみきおは「子供」「動物」「老人」といった、自然体のボケを発する者を主役にした
漫画を描くことになるなり・・・3歳児、のぼるくん、ガキおやじ・・・
ムム!近年の作品について語る時間がもうないなり!てなわけで次回に続くべしったらべし!


(注)後の吉田戦車を筆頭とする、「癒し系」などと誤解されてるバブル期末期の一連のギャグ漫画の
魁ともいうべき、斬新かつ着いていけない人の多い漫画。究極が「ゴールデンラッキー」。


いがらしみきお4コマ漫画







「バガヤロ様〜!Part.2」


(続き)

過剰なボケと過剰なツッコミ、己の満たされぬ欲望を、己のダメさと愚かさを、喉も裂けよと大絶叫!
・・・そんな'80年代初期の過激型ギャグは、相原コージ(コージ苑)、斉藤富士夫(激烈バカ)等に
直接影響を与えていると思うなれど、このタイプのギャグの致命的問題点は、描いている作者
本人が一番最初に飽きてしまい、最終的には脱力系に移行してしまうことが多いことなり。
そりゃ、濃い味の料理ばかり立て続けに作ってりゃ、飽きてあたりまえなりな。さて、いがらし
みきおの場合、休筆からの復帰第一弾である「BUGが出る」「ぼのぼの」(同時連載)で、
それぞれ異なるスタイルの脱力ギャグを開発するなり。前者は、休筆前の「あんたが悪い!」等
でみせた、何がどう面白いか説明しにくいなれど「異様な行動に対する冷静な対応」が大きな
特徴なりな。つまり、ツッコミがほとんどなくなってるなり!こいつは革命的なり!日本のお笑いに
必須である「ツッコミ」・・・観客(常識者)の思いの代わりを、ボケ(非常識者)に対し、過激に指摘
する、というツッコミは、「ここ、笑うとこですよ」という合図でもあり、アメリカのコメディドラマにおける
どこからともなく聞こえてくる観客の笑い声に相当するなり。「ツッコミがない」ということは、それが
面白いかどうか、異常なのか正常なのか、それを判断するのが、ギャグを読んでいる読者自身に
ゆだねられる、ということなり。ところが日本人というものは、周囲の人間の反応を気にして判断する
ことが多く、この「ツッコミなし」ギャグを苦手とするなり。ゆえに、早すぎた作品ともいえるなりな。
しかし続く吉田戦車朝倉世界一中川いさみ榎本俊二といった新世代の脱力系は、
異様なキャラクター(しかも周囲のものは、その存在を受け入れていることが多い)を全面に
出し、その段階で「これは笑う漫画ですよ」というお知らせを確認し、安心して笑えるなり。

そして「ぼのぼの」!恐ろしいことに、未だに続いてるベストセラーなり。動物キャラクターによる
ほのぼの漫画・・・ではなく、脱力系哲学漫画?とも言えるなり(描かれた時期により異なる)。
「動物」であり「子供」である、見る者に対し笑いを強要しない、自然体のボケ役、それがラッコの
ぼのぼの(注1)。いじめっ子ながら独自の主張と哲学を持つアライグマ君は過剰にツッコむ
なれど、結局は過激な展開になることもなく、ほのぼの(というか、まさにぼのぼの)とした展開。
劇場版アニメが制作され、後に15分枠のTVアニメ(注2)。昨年はフルCGの新劇場版も公開。

この「自然体のボケ」ギャグへの試みは更に進行し、老人ホームを舞台にした「のぼる君たち」
幼児の日常を描いた「3歳児くん」が描かれ、そしてとうとういがらし作品初の普通の少年漫画
「忍ペンまん丸」!確かにいがらしギャグなれど、ちゃんとまっとうな少年漫画?なのに
感心してしまったなりな(笑)。これもアニメ化されたなれど、ギャグの「間」がイマイチだったなり。

そして「ガキおやじ」!・・・と聞くと、「ろぼっ子ビートン」を思い出す人が多いと思うなれど、
これは3歳児くんがそのまま大きくなったような中年オヤジのお話。美人三姉妹の父であり、
中小オモチャメーカーの社員で出社拒否中の西山三歳(にしやまみとし)。あの「ガキでか」
のように、すぐちんちんを出したり幼児ギャグに走る変態一歩手前なれど、新しいオモチャの
アイディアに関してはズバぬけた才能を持つ男。このオヤジと周りの人々のドタバタを
描いた、総統ちゃんがヒスター青年団推薦図書に認定した漫画なり。でも、一巻のカバー折り
返しの作者の談によると、「みんなにこんな漫画やめろって言われる」・・・な、なんたること!
いがらし作品はもともと下ネタが基本であったことを忘れておるのかッ!
ウヌら、「ぼのぼの」「まん丸」が正統いがらし調などと思っておる無知な愚民どもは、ただちに
強制収容所に送ってちんちんシェーカー
(注3)強要の刑実行!

総統ちゃん命令第10246号!
不幸にして単行本3巻で打ち切られた「ガキおやじ」、未読の者は万難を排し探して読むべし!
いや、それだけでなく各時代のいがらし作品を読破し、それそれ違った面白さを堪能すべし!
べしったらべし!!べし!


(注1)・・・ラッコに見えねえなれど(笑)。固有名詞のあるキャラは少なく、シマリスくん、アライグマくん
のように、その動物の種族の名で呼ばれる者が多いなり。(ムーミンみたいなり)

(注2)・・・作者の意向により、オリジナル話が多く、面白い回とつまらない回の差が大きいなり。
ちなみに、ぼのぼのの声は「カテ公」(Vガンダムのカテジナ)役の渡辺久美子。


(注3)・・・ガキおやじ新作のヒット商品。罰ゲームグッズでもある「ちんちんシェーカー男同士」。二人が
前後の穴にちんちんを入れ、仕切りを外すとちんちんがからみあうというもの・・・し、しにそう。

Sinkホームページ・・・ウェブコミック。いがらし作品初の本格ホラー。







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