「はーっ、糞でございます Part.1」


(帝国兵器工廠視察時の発言)

いや前回、ニュータイプの育成を試みて失敗したなれど、それ以前にロボット兵器の
開発をしてなかったなりな。やっぱ、戦車って悪役っぽいし、正義の象徴イメージなら
神格化しやすい人型兵器なりよ。そんでもって、正義の心を持つ子供たちが操って
悪をけちらし〜て正義〜を示すの〜だ〜♪なりよ!・・・ムム、「正義の心を持つ子供たち」
思い出したなり・・・日本の巨大ロボット作品の中でもそのインパクトにおいて最狂のアレを!

「力がなければすべてが無意味だ。力がなければすべてがむなしい!!」
「力こそ正義だ!」
「ザ」(一呼吸ためて)「ムーン!!」
てなわけで、70年代初頭の少年サンデー連載トラウマ漫画・「ザ・ムーン」なり!

巨万の富を持つ男・魔魔男爵「わたしは偉大なる発明をした!!わたしは正義を発明した!!」
科学の知識はこれっぽちもないなれど、二兆五千億円を投じて開発させた巨大ロボ、その名は
「ザ・ムーン」。しかし、自らを薄汚れた大人の一人であり、正義を行う者では無いと自認する彼は、
なんと九人の子供たち(注1)にこれを託してしまうなり!純粋な九人の心が一つになったとき、
額の九つのランプ全てが輝くとき、「力ある正義」ザ・ムーンが動き出す!!

むちゃくちゃな設定なり。しかし,いきなりインパクトだけは強烈なり!さすがジョージ秋山。
己から噴出す何かをコントロールできていない、作品としてはいびつにもほどがある漫画なれど、
(というか、方向を見失って暴走するダンプみたいなれど)70年代かくあるべし!で納得して次へ。

(今回もネタバレだらけ)
出だし、昔の江戸川乱歩の少年探偵物+猟奇物のノリで、ビッグ魔法団という奇術師集団が
謎の青年・未来さまの指示で代議士とその娘を惨殺・「地獄舟」に生首を載せたり、事件に
迫る九人の子供たちを襲ったり・・・全然ロボット物の展開ではないなりな。まあ、「マジンガーZ」
より古いので、巨大ロボのパターンが確立してない時代のせいもあるなりよ。で、九人の中の
一人・カテイカ惨殺の危機にかけつけた仲間とザ・ムーンを前に魔術団は撤退。未来さま曰く、
「ぼくは まけるとかしりぞくということが いちばんきらいなのです!!」
「ビッグ魔法団はこれで解散ですね!!」

地獄舟

・・・上に熱気球みたいなのが付いてて飛ぶ・・・とばねえっつうの!

お前、そんなんでもう終わりでいいんかい!魔術団の首領は責任を取らされ処刑、未来さまは
新たな配下のグループ、「連合正義軍」に行動開始を命ずるなり・・・え?先の代議士親子の
殺害は何のためなりや?って??・・・そんなもん不明なり!作者が忘れてるなり!!・・・
え〜っと、おそらく、「世直し」が未来さまの基本方針ゆえ、汚職代議士に対する制裁と思われるなり。
しかし・・・なぜ魔法団?そして地獄舟?・・・ううう、ふり返ってはいかんなり!次!
 

「連合正義軍」はチョッパー(極端にハンドルの長いふんぞりかえって乗る
アメリカンバイク)に
またがった、同じジョージ秋山作品に登場する「オロカマン」
(またはオロカ面)
(注2)そのものの扮装。いきなり過激派を爆殺したり、違った
形の「力の正義」を実行するなり。しかし、
彼らの究極の目的は、米軍が日本に
持ち込んだ水爆を奪い、これを四国に落とすこと!

・・・な、なぜ四国?それで世直し??
ええと、「強大な武力の行使」をみせつけて恐怖させ、日本を支配、未来さまの
独裁により
統治する・・・ということらしいなれど、ハッキリしないなり。ちなみに、
正義軍は多くの人々を犠牲にした責任をとって潔く総員自決の予定なり・・・って、
いいんか、お前ら!!


サイボーグ猿+連合正義軍・コピー分身の術!・・・ものすげえ見開き

ムーンと子供たちは正義軍の水爆輸送を阻止しようとするなれど、いかんせん子供なので
体力も限界、危機に陥るなり。さらに正義軍は巨大なサイボーグ・オランウータン
(開発期間十二年、費用三十億炎円)を投入、立ちふさがるムーンに決戦を挑む!
なれど、ムーンの背後に上る満月が、ムーンの三日月型の上半身に重なった瞬間!
破壊光線発射!!
「ムーンが満月になった!」一撃で粉砕される巨大猿サイボーグ!
しかし、水爆ミサイルが発射!それを受け止めたムーンは、そのままオイルの涙を
流しながら海に入り、沖へと消えてゆく・・・そして、はるか沖合いで爆発!
「さようなら・・・ぼくたちに正義と勇気を教えてくれたでっかいひと・・・ザ・ムーン」
「ザ」(一呼吸ためて)「ムーン!!」

・・・と、省略して書くとまともっぽいなれど、やはりムチャクチャなり!!
なんとゆーか、胸のうちのドロドロを加工せずに吐き出した感じで、おそろしく未完成で
荒削りでおおざっぱ、構成なんてものは皆無なり!いや、それを期待してはいかんなり!
もはや、あの「ワイルド7」の暴走ドライブ感を突き放した麻薬中毒状態なりよ!

ムムム!第一部だけでいっぱいいっぱいになってしまったなり!恐るべしジョージ秋山、
恐るべし70年代的トリップ感覚、しかも「ムーン」を語るなら忘れてはいけないあの人・・・
いや、あのマゾヒスト忍者「糞虫」(くそむし)さんについて何も触れられなかったなり!
やむをえず次回に続くなり!期待すべしったらべし!!


(注1)サンスウ・シャカイ・カテイカ・リカ・・・などの授業科目の名前を持つ下町の子供たち。
いったいどんな基準で選んだのかは全く不明なり。豪快さんなりなあ、魔魔男爵。

(注2)「デロリンマン」に登場するキャラクター。アメコミのアイアンマンにも似てるなり。
筋肉少女帯のミニアルバム「断罪!断罪!また断罪!」のカバー参照。


「ザ・ムーン」

小学館文庫版第1巻

古いサンコミックス版はプレミア物なり



 
「はーっ、糞でございます Part.2」


(総統ちゃんの一人芝居)

「おまえは人間ですか?」  「いいえ 違います」
「サルですか!!」   「いいえ 違います」
「それではなんです?!」 「はーっ 糞でございます」
「それで」
「はーっ この世でいちばんきたないもの それは わたくしめでございます!!」

漫画史上に残る、ものすげえ対話なり(笑)!!ザ・ムーンの製作者・魔魔男爵とその手下・糞虫
かけあい、常人の想像のはるか1万メートル上空をターボ全開で駆け抜けてるなり。
男爵の忠実なボディーガードであり特殊工作員・糞虫。忍者のような体術で、悪の手から
ムーンを動かす9人の子供を陰から守る男。普通、この2人がこの設定でキャラクターデザイン
されたら、眼光するどい髭の老人と、かっこいい忍者の組み合わせになるところなれど
 
どっちもヘンテコさんなり

鎖帷子というより、網タイツをかぶっているような変態ルックス、しかも基本姿勢が
土下座
いや、男爵に対してだけでなく、全ての人の前で土下座。あろうことか
敵の前でも土下座
そう、ファイティングポーズすら土下座で、敵を全く見てない状態から攻撃に入るなり!
き、既知外にしか思いつけねえキャラクターなりなあ。改めてジョージ秋山恐るべし!!

さて第二部、いつのまにか男爵の手により海から引き上げられていたムーン。
(す、水爆の影響は?)一方、主人公・サンスウたちの学校に転校してきたナゾの少年。
道に一列に釘を打ち続けるという奇行、さらにその先には釘を頭や目に打ち込まれた
死体が!・・・またしても猟奇物のノリで全然ロボット物でないなりな(笑)。実はこれ、
サンスウたちを引き寄せるための策略で、死体は転校生の実家のある村の仲間に
よる芝居だったなり。実は、彼らの以前住んでいた村はダムの底。しかし、後になって
先祖たちが隠した金塊の存在がわかり、しかし国に売ってしまった土地ゆえ下手に回収
しても、国の所有となってしまう。そこで、折からの台風に孤立したフリをして、救出にやってきた
ムーンと少年たちに風雨にまぎれての金塊回収を要求したのだった!・・・・・
あほなりや?こいつら
す、全て間違ってると感じるのは気のせいなりや?最初のインパクト優先演出が走りすぎて
ストーリーがぶっ壊れてしまってるなり。ダムの決壊の危機の中、転校生は金塊回収の
優先を要求、「巨大な力の正義」ムーンを私欲のためには断固使わぬとつっぱねるサンスウ、
言うことを聞かぬと殺す、との拷問、脅迫のも屈せず、ダムの決壊をくいとめさせる。
九人の結束と決意に心をうたれた転校生は反省・・・と、またロボット物になってねえなり!

第三部。男爵に負けず劣らぬ富豪にして超能力者・春秋伯爵は老いた己の欲望のみを優先した
「ワタシノ ゆうとぴあ」建設のために、催眠術にかけた老人たちや量産型巨大ロボ・ファーブル
使って悪事を働く・・・お前も間違いすぎてるなり(笑)。しかもファーブル、一画面に最大40体も
出てくるなり!伯爵、変なところに金つぎ込みすぎ!これに対抗する少年たちとムーンの新能力
般若心境を唱えて飛行
レインボーマンか、お前は(笑)。これ、お経が飛行するための呪文とかではなく、九人の意思を
統一してムーンを操るサイコキネシス増幅のためのものなり。でも飛行原理は不明(笑)!
たった一人で九人と互角の念動力を発揮する伯爵は、ムーンを操り少年たちを殺そうとするも、
九人の団結の前に破れ、「ぼくらの正義の神」ムーンに大仏のイメージと畏怖を感じ、降伏。
それで終わりでいいなりや〜!!

しだいにムチャクチャ・・・あいや最初からなりや?問題なし!なしったらなし!!
第四部。雪の日に現れた巨大なUFO。それは犬頭のエイリアン・ケンネル星人のものだった。
円盤に拉致されたサンスウとカテイカは、同じ人間同士で争う地球人に対する彼らの
とまどいを知る。一方、交通事故で負傷した一人のケンネル星人が拉致され、大商人
木の国屋によって殺されるなり。彼は、宇宙人が来たことによるこれからの世界の混乱を
利用し、巨大な利益を得るためさらに政府要人を暗殺させるなど、混乱を助長させるなり。
ケンネル星人とすら取引した木の国屋は巨大ロボ・黒龍号を得て、邪魔となるムーン破壊を
試みる・・・え〜、ケンネル星人の一人を殺したのが他の星人にバレていないのかもしれぬ
なれど、何を取引してロボを手に入れたかはナゾなり〜(悩)。この後、星人と対談した首相が
「地球を滅ぼすカビ」の発生器が設置されたことを知らされ、サンスウたちに協力を要請・・・
この装置はどうも人類に対するある種の「試し」らしいなれど・・・黒龍号により捕獲、
崖崩れの中に埋められたムーンを発見した彼らは、その近くの山村がカビにより全滅している
のを発見、装置停止のため吹雪のごとき殺人カビの中を進むが、直前で全員力つきる・・・
動けないムーンはオイルの涙を流し、ただ泣き続けるのみ

ひでえラストなり(笑)
打ち切りなんだか作者がワケわかんなくなったか、ハデに打ち上げ制御不能空中分解なり!
いやしかし、インパクトとトラウマだけはガッチリ グッサリ食い込んで心から抜けなくなったなりな!
いいとか悪いとかではないなり!残るか残らないか、なり!
そのインパクトゆえ、その他がダメダメでも「ザ・ムーン」は復活したなり!見習うべし!
大昔の貸本漫画的怪しさ・安っぽさが妙な形で発酵したようなノリこそがこれからの・・・あいや、
やっぱ他の漫画がみんなこんなになったら日本漫画が終末を迎えそうなので程ほどに(笑)。

さて恒例、総統ちゃん命令第3749号!
何でもいいから映像化すべし!そして歴史的怪作として歴史に残るべし!
べしったらべし!!べし!


「ザ・ムーン」




三回押せばがんばれ鉄人 Part.1」


(再度、帝国兵器工廠視察時の発言)

未だ人型兵器はできないなりや?けしくりからんなり!だいたい、わが帝国は半生体
サイボーグの獣戦車まで開発済みなれど、何ゆえ人型ロボができぬのか、不思議なりねえ。
あの科学技術の遅れていた旧日本軍ですら、ミカドロイドやメタルダーや、強化外骨格を開発
しているなりよ!・・・え?あれは漫画や特撮?フィクション?ああ、わかってるなり、あんな
高度なものは作れないなり。特にメタルダー(笑)。ホントに作ってたのは
「鉄人28号」なり!

第二次大戦末期、太平洋上の孤島。ここでは旧日本軍による決戦兵器「鉄人」の開発が
行われていた。しかし、次々に開発されるそれらは頭部装甲が薄く、耐弾試験に失敗し
次々に失われていったなり。この秘密基地の存在をキャッチしたアメリカ海軍は、ヘルダイバー
急降下爆撃機の大編隊を投入、基地を粉砕し、全ては失われたかのようだったなれど・・・

十数年後・・・深夜の東京に「ロボット強盗」が出現!身長2mほどのロボットを連れた男が犯人なり。
「ロボット26号ダ」
あ!こいつ自分でしゃべるなり!なんか後からでてくる(ロビー以外の)ロボットより高性能。

そして少年探偵・金田正太郎・・・え〜、半ズボンの「少年」なれど、何歳かは不明。
何しろ1956年連載開始の古典ゆえ、漫画は完全に子供の者であり、リアルな設定より
同世代の子供がピストル撃ったり悪人をやっつけたりの大活躍できる環境が優先、の時代
ゆえ、彼が無免許運転や拳銃不法所持に問われないかなんて考えてはいかんなり!
正太郎の友達・鉄雄の戦争で行方不明になった父・敷島博士が残した全長20cmほどの
ミニロボット・0815号(おそらく、この年に公開されたドイツの戦争映画『08/15』から
きてる名前なり)や、博士も関わっていた「鉄人」計画の存在を知った正太郎は、しだいに
犯人に迫って行くなり。同時に、ロボット強盗に恨みを持つ有名なギャング・村雨兄弟や
組織密輸犯罪結社・PX団、そして謎の男もからみ、混戦状態に。そして出現する鉄人28号!


あれあれ、ちょっとちがうぞ。

てゆ〜か、全然ちがうなり!起動したそれを見た謎の男も「あれは28号ではない」と言ってる
なり。実はこの男、基地壊滅の際、九死に一生を得た敷島博士その人だったなり。ロボット強盗
も、どうやら生き残りの開発スタッフの一人と思われ(ついにハッキリ語られていない)、
鉄人計画で開発されたロボットたちを悪用していたなり。そして現れる本物28号!しかし
まだ充分にコントロールできない危険ロボ。正義の味方どころか警官はブッ殺すわ、戦車は
ひっくり返すわの大暴れ。そして27号との激突・・・え〜、この27号、大戦中失敗した
27号の改良タイプで「大型27号」というなり。てゆ〜か、最初はホントに28号のつもりだったのが、
急遽あの鉄ビンみたいな28号に変更されたみたいなりな(笑)。いきあたりばったり。
しかもロボット強盗(これまたハッキリと語られてないなれど、覆面の鉄人の開発者と
同一人物と思われるなり)、最初は28号をPX団に奪われそうになって敵対してたのが、
いつの間にか協力関係になってる上、村雨に撃たれて死亡&退場!お前誰だったなりや〜!
(ちなみに、アニメでは正太郎の父・金田博士が作ったことになってるなり)

ううむ、「ザ・ムーン」はハッタリをかましすぎて話のつじつまが合わなくなってたなれど、
鉄人も相当とばしすぎなり。ってゆ〜か、作者の横山光輝があまりの売れっ子ぶりのため
月産500ページ
という、既知外みたいな仕事量をこなし、つじつまもなにも考えてるヒマはなかったみたいなり。
しかも、鉄人は当初完全な悪役・モンスター役であり、最期は溶鉱炉に落として終了、の
予定だったというから・・・つまり、「ロボット物」ですらなかったのなりな!
その証拠に、まず本物28号が登場するのは復刻版である光文社文庫版では184ページ目。
2巻で初めてリモコン(敷島博士が作った物)を手にした正太郎は、敵の鉄人操縦を妨害する
ために使い、しかもその後、大塚署長が鉄人を操縦してしまうなり!そう、正太郎より署長の方が
先に鉄人を操っていたなり。そして3巻147ページにして、ようやく正太郎が操縦!・・・
ここで初めて「鉄人&正太郎」のコンビが結成されたなり!
いやもっとも、意思を持たない鉄人はしょっちゅうリモコンを奪われ、敵に使われたなれど。

さて、「ロボット強盗」「村雨兄弟」「PX団」「ニコポンスキー&SSC」
「探偵クロロホルム」「「スリルサスペンス一味」「怪盗ジャネルファイブ」・・・
などなど、次から次へといろんな悪の組織や正義の仲間が出てきて大混戦。
あ、ジャネルファイブはホントは「シャネルファイブ」だったなれど、商標(モンローが
つけてたことでお馴染みのシャネルNo.5)の問題で、復刻の時改名されたなり。
ようやく鉄人は正太郎専用機になり、SSCの恐竜型ロボ(SSC=S国スパイ団は
どうもKGBらしく、小型高性能の鉄人を欲しがっているなり)との戦いなど、
ようやくロボット物としてのスタイルが確立していくなり。おお、世界に冠たる日本の
ロボットアニメの雛形、いまここに!この後、鉄人に勝るとも劣らない優秀な
ロボットを生み出す不乱拳博士やドラグネット博士バッカス、ブラックオックス、
ギルバートなどのライバルたちとの戦いが始めるなれど、それはまた来週!
待つべしったらべし!


「鉄人28号」


 実写版鉄人28号

実写アトムと並び、そのチープさを知られる

脅威のTVシリーズ!主題歌がトホホなり








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